モロッコの目玉「サハラ砂漠ツアー(記事はこちら)」も終え、一息つきたいところでしたが、全く休めなかった街、フェズ。
まずはメルズーガからリッサニという町に移動し、そこからフェズまでのローカルバスに乗り換えです。地元の客引きにあれこれ言われましたが、結果的にうまく乗る事ができました。
10時間のバス旅。これまた凄い景色の連続です。
音楽の力ってすごいですね。この広大な景色を見ながら、映画「ジュラシックパーク」で使用されている2つのテーマ曲を聞いていると、地球や生命の神秘と壮大さ、エネルギーを感じ、涙が出てきます。
緑が増えてきました。
湿地帯では急に気温が下がり、汗が体を冷やしてしまいます。動物たちも水(草)を求めてやってきます。
遊牧民も発見!岩肌で見つけるのは困難でしたが、運良く見れました。
そしてまた乾燥地帯へ。広大な土地。よく見かけるのはサッカー場。どこもゴールネットなし。
ご一緒していたお友達の一言。「キーパーに止められた方がいいじゃん!」
所々で立ち寄る町ではこんな物も・・・
40度を超える乾燥地帯。売店や町のあちこちで、無料で水を提供しています(安全かどうかはわかりません)。
そろそろ腰がいたくなってきました。
エアコン無し、硬いシートの古いバスで10時間。精神力を鍛えることもできますね(そんなバスに平気で乗るおじいちゃんおばあちゃん達、凄い)。
さて、バスはフェズに到着です。
すっかり陽は落ちてしまい辺りは暗くなりました。ちょっと物騒な旧市街を歩きます。
ちなみに、フェズの旧市街は他の地域とは比べ物にならないくらい狭く、迷路のように入り組んでいます。(写真は昼の様子)
車は入ることが出来ないので、荷物の運搬をしている馬やロバの姿をよく見かけます。
航空写真(googlマップより)
重たい荷物を背負って本日の宿を探していると、やはりやってきました…
まずは子どもたちに絡まれます。持っているコーラを「ちょうだい!」とでも言っているのでしょう、掴んできます。
次に、すぐさま若いにーちゃんたちが声をかけてきます。
「どこの宿だい?案内してあげるよ」
断って歩くと
「その路地はクローズだよ」
この「クローズ」が本当に腹立たしく、3日滞在中ずっと言われ続けましたが、一切そんな路地はありませんでした。心配させておいてお金を取る。本当に呆れてしまいます(※すべての人ではありません)。もっと卑怯なのは、どこから手に入れたのか「suica」のカードを持ち出し、日本人からの信頼を勝ち取り、騙すやつもいます。
ここ旧市街は昔ながらの職人が数多く住む街。たまたま電灯がついている工房を見つけ、宿の場所を聞く事ができました。
それでも分からず、もう一度聞きにいくと、一人のおじさんがわざわざ案内してくれました。が、そのおじさんもついには迷ってしまい、さらに現地の人に聞いてまわります。
やっとの思いで宿に到着。チェックインしたいのですが、到着してからトイレットペーパーの買い出しや風呂場の掃除が始まり、なかなか落ち着けません。
初日から刺激いっぱいのフェズ。この先が楽しみです…。
そして案の定、翌日は疲れと暑さでほぼ宿に転がっていたのでした。部屋からの眺め。ここでも伝統的な家屋、リヤドに宿泊。
気温は40度を超える日も…。
しかし、ずっとダラダラしていてはもったいないので散策に出ます。
先ほども書きましたが、旧市街は多くの職人が残る街です。
迷路の街には、職人の集まる通りもあります。
様々な職人がいる中で、特に有名なのが「なめし皮」と「染色」。「皮」を「革」にする、つまり動物の皮を製品(革)にするための行程です。
とある路地を抜けたところで異臭が漂ってきました。タンネリ工房(皮なめし工房)です。ここは行ってみたかったので見学してみることに。
ここは複数の家庭が共同で作業しており、200人が働いているそうです。このタンネリはヤギ、ヒツジ、ウシの革を生産しており、家族でやりくりしている家庭の子どもは学校にもいっていないとか(※真相は定かではありません)。
皮を洗浄し、柔らかくする作業です。
人体に影響があるのではないかと思うほどの異臭の液体(写真にはありませんが、鳩の糞混ぜた液体の桶もあり、皮が柔らかくなる効果があるとか…)。
皮を乾燥させています。
皮を伸ばしているおじさん(デモンストレーションはちょっとでよかったのですが、最後まで必死に続ける)。
こちらは染色の作業。ここでは赤・黄・白・茶色などを染めているそうです。
タンネリの外では、タンネリがよく見えるテラスを案内する自称ガイドのにーちゃんがいますが、実際に工房の中へ入っていき、職人さんに案内してもらうことにしました。
中へ入っても、はりきって案内してくれるおじさんがいました。積極的にテラスへ案内しようとするので「これもチップ狙いか…」とがっかり。それを見て、さっきまで作業をしていた人が工房の裏側まで説明してくれました。
「お金ないよ」とあらかじめ言っていたのですが、聞いていないふりをして付いてくるおじさん。しかし、作業をしていた方は丁寧な説明、実演、工房内散策(ある程度ですが)をこころよく引き受けてくれたので、入場料と思えば安いと思い、チップを準備することに。
最後にはやはり、初めに声をかけたおじいさんから「チップ払ってね」と言われます。一応「ないって言ったじゃん」と言いますが聞く耳も持ちません。
準備していたチップを渡すと、「もっとないの?」と。ちょっとショックでした。
先ほど案内してくれた若い方が後ろで「いいからいいから!もう行って大丈夫だよ」とジェスチャーで応えてくれます。
入場料を取れば、最初から潔くお金を払いますが、お金がかからないフリをし、親切なフリをしてお金を取ることは気持ちのいいものではありません。
そんな中で、伝統のバブーシュ(革を使用した履物)を愛し、技術や美しさを紹介してくれたおじいさんに出会いました。
職人通りの角に小さな店を持つおじいさん。もちろん「チップをくれ」「これを買ってくれ」などどは一言も言いません。
作業を止めて、使用する道具の種類と使い方を教えてくれました。
終止笑顔で楽しそうにバブーシュについて教えてくれたおじいさん。
おじいさんの愛情のこもったバブーシュを履きたく、購入しようか考えてしまうほど…。長旅でなければ購入していたでしょう…。
今回はおじいさんのバブーシュを紹介することしか出来ませんが(現地でおじさんから購入したい方はご連絡ください。場所をご案内します。)、私の心にバブーシュという伝統の履物が深く刻まれたのは間違いありません。
他のお土産屋さんにはたくさんのバブーシュが売っていますが、中には中国産のものまであるそうです…。
職人が作るものは見た目の美しさもそうですが、細かいところで気持ちのこもったものが現れています。職人の手の温もりが伝わっていますね。
しかしこの美しい製品も、先ほどタンネリで見た光景からから生まれたものです。
大量の動物の皮を一度に見ると考えさせられるものがあります。
スペインで闘牛を見た時にも感じましたが、動物の肉を食べることや、今回見た皮の製品を使用することは、今の生活では切り離せないものです。
しかし、すべて命あったもの。
使用するヒトは感じなければいけないでしょう。
少なからず、敬意を持ち、ありがたみを感じることが、使用する条件なのだと。
帰路に向かうため、地図をチェックしているとやはりやってきました…
「タンネリはこっちだよ!どこまで行くんだい?」
そんなやつらを「もういいから」とでも言っているように追い払う職人のおじいさん。
本当に一流の職人であり、一流の地元民です。
世界中の観光地。
お金が動く場所なのはもちろんですが、それよりも…
「心」が動く場所であってほしいと願います。
はじめまして。
楽しく拝読しております。
今フェズ に来ているのですが、
バブーシュ職人のおじいさまがいらっしゃるのは
どの辺りでしょうか。
もし宜しければ教えて下さい。