モロッコで行われている「サハラ砂漠ツアー」はマラケシュやフェズからの発着が主ですが、今回はマラケシュ発→フェズへと行くルートで参加しました。
まずは現地(マラケシュ)でツアーを予約しますが、客引きが多いのですぐに見つけることができます。他の人のブログや聞いた話を参考にすると、2泊3日のツアーで大体750ディルハム(約7800円)で安くても700ディルハムでした。
しかし、旅中に出会った素敵なご日本人ご夫婦と協力してツアー会社を探すと、ツアー会社同士で価格競争が始まり、最終的には破格の値段で交渉成立することができました。(※彼らも商売ですのでここでは値段は控えさせていただきます。詳細を知りたい方はご連絡ください。)
【1日目】
朝7時半に集合場所にて待ちます(※宿ピックアップもあります)。
眠たい目をこすり、出発です。
気づくとアトラス山脈の山道を走っていました。急な道をどんどん登って行きます。
さらにウトウトしていたら、「降りろ!フォト!フォト!」と言う運転手のおじさん。
降りてみるとこんな景色が。
標高はどれくらいなのでしょうか…。
砂漠までの道のり、様々な場所で道路工事が行われ、行きやすいように整えられつつあります。ですが、削られた山道は痛々しくもあります。
みなさん、思い思いに記念撮影!
運転手のおじさん。見た目は怖いですが、笑顔が可愛く、優しい方でした。
しばらく進むと、世界遺産「アイト・ベン・ハッドゥ」を訪れることができます。
(※別途料金を払い、ガイドさんに案内してもらいます)
ここは、砂漠地帯などでみられる隊商貿易(長い距離を移動して物品を運ぶ)の中継地点として栄えた都市の一つです。砂漠地帯の中でも、水が湧き樹木の生えるオアシスは、こうした貿易の重要な場所でした。
現在は8家族がこの中で実際に生活していますが、多くの家庭が電気や水道の便利さを求め、川を挟んだ向こう側の新市街へと移り住んでいます。
建物の造りは土に藁を混ぜたもの。強度を高めるために、動物の糞を混ぜることもあるようです。
「自然の色」そのままの集落からは、「人間の技術という光合成を経て生えてきた場所」という印象を受けました。
このような集落は孤立しているため、敵の侵入を防ぐ工夫があり、今でもその様子が見られます。中に入ってみましょう。
入り口は一つしかなく(現在は橋から抜けられる)、集落の中は入り組んだ地形になっています。
建物の1階部分には通気口しかなく、窓は2階にしかありません。
また、ここは数々の映画の舞台(撮影地)にもなっています。
ご存知の映画はありあますか?
映画の撮影地であることや世界遺産に登録されたことから、観光客が多く訪れるポイントとなっています。そのため、保存の意味も含めた階段の補強や、橋を架けるなど、ユネスコの支援を受けています。
(観光ルートの階段の補強)
(雨期には川も流れるため、橋を掛けたようです。向こう側が新市街)
ここだけでなく、近郊にはハリウッド映画で使用されたセットも残っています。
気温が40度を超えることもある地域。観光客が来るということは、残していくゴミも増えるということ(ここでは観光客の方がマナーがいいようです)。
ツアーでは、お土産屋さんに寄ることもお約束ですね。
ここは「炙り絵」で商売をしています。
ここで珍事!!!
とある観光客が、小さいサイズの炙り絵に興味を持ち、購入したいと要望しました。しかし、所持金は大きいお金しかありません(といってもそんなに大きくはないが)。
すると、「おつり無いよ」と言ったのです。
案の定購入を諦める観光客。
さすがに最後には、どうにかガイドと話をつけて販売することができました。
お金になる商売にも関わらず、「おつりを準備していない」というシステムの悪さが衝撃でした。
世界遺産の観光地。そこまでしなくても生活に困る事はないほど潤っているのか、欲かないのか。とにかく意外な出来事でした。
1時間以上も外にいると、乾涸びちゃうんじゃないかと思うほど暑いので、足早にバスに乗り込みます。
乾燥した地域をさらに進みます。
こうした風景をみると、自分だったらそこで生活できるのか?学校ってどうなってるの?旅行に行くことはできるのだろうか?スーパーで買い物できるのかな?と考えてしまい、いかに当たり前が当たり前ではないことを感じさせてくれます。
「もし冷蔵庫には食料があり、着る服があり、頭の上には屋根があり、寝る場所があるならば・・・あなたはこの世界の75パーセントの人々よりお金持ちで
もし銀行に預金があり、お財布にもお金があり、家のどこかに小銭の入ったいれ物があるならば・・・・あなたはこの世界の中で最も裕福なものの上位8パーセントのうちの一人。」(『もし世界が100人の村だったら』より)
裕福な私たちは、先人たちの努力と現在の恵まれた環境をもっともっと、認識する必要があるかもしれません。
その後は2カ所のフォトポイントで停車。モロッコの山々は、地形の全く違う山が入り組んでいる箇所がいくつかあり、興味深かったです。
その後もいくつもの集落を通過して行きます。
そこであることに気づきました。
下の写真のように多くの家には、屋根の上にギザギザピラミッドのような形をしたものがついます。
これは、山の中にある家の特徴で、
「そこに家がありますよ」と目立たせる意味があるそうです。
おもしろいデザインですね〜。
朝から長時間の移動。やっとこの日の宿に着きました。座っているだけですがかなり疲れます。
砂漠との中継地点、ダデス渓谷付近にて宿泊。
ツアーは夕食や朝食が含まれています。伝統料理のタジン(野菜がメイン)をいただけるのはありがたいですね。
【2日目】
この日も先が見えない道を進んでいきます。途中数々の峠、集落、平原、遊牧民を見ながら。
モロッコでは、労働にロバは欠かせない存在です。
2日目もとある村を訪れます。
この村は遊牧民など、560家族住んでいるとのこと(半分以上は山の上だとか)。
昨日降った雨で川が濁っています。
そしてやはり、この日もお土産やさんを訪問。
「笑顔が大切だ!」と力説しながら商売をするおじさん。買う気がなくても笑顔で優しく接してくれました。
ここで作られる絨毯は女性が担当。長くても1日3時間ほどの制作時間だそうです(その他の時間は家事や農作業)。
デザインは家庭によって違いがあり、繰り返しのデザインには様々な願いが続くようにという意味があります。
ふむふむ。勉強になります。
ニコニコと笑顔が印象的なおじさん。が、最後はやはり商売。買おうか迷っていたお客さんには、かなりしつこく食いついていました。
まだ砂漠に着いていません!!!先に進みましょう!
つづいてトドラ峡谷。こうした峡谷は登山用語で「ゴルジュ」と呼ばれています。ゴルジュとはフランス語で「喉」という意味で、喉の様に細く狭い谷になっているという由来があるようです。
迫力ある景色。短時間しか滞在できなかったことが残念。
この日は観光客だけでなく、モロッコの人々もピクニックに来ていました。
どこまでも、どこまでも続く道を、さらに進んでゆきます。
この景色、もはや映画の世界。
途中、ラクダの群れに遭遇。
だんだん緑が少なくなてきましたよ。
いよいよ、このツアー最大のハイライト、サハラ砂漠へ!
見えてきました。砂丘です!
全て砂だとは思えません。
砂漠への入り口定められた場所がいくつかあるようです。
入場の際、個人情報とサインを警察に届けます。
施設を抜けると、待ってました、ラクダさん!
「僕に乗ると、ラクだよ!」なんて声が聞こえてきそうです。
ラクダへの乗り降りは、振り落とされるんじゃないかと思うほどスリリング。優しい顔ですが、力強いです。
ラクダの力にお世話になりながら、これまた果てのない道を進んでいきます。(先頭でラクダを誘導する少年、17歳。よく働いています。)
後ろからついてくるラクダの頭をポリポリ撫でる。
結構人懐っこい印象です。
そして目の前に広がる圧巻の景色。
360度、どこを見ても同じ色・形のない景色。
自然の力が作り出す形、色彩。
はっきりとした境界線もあれば、優しさのある移り変わり。風が作り出す波の模様。変わりゆく陽の当たり。
ただただ、美しいと感じるだけの時間。
ラクダに揺られ1時間半。見えてきました!本日のキャンプ!
砂丘の大きさに圧倒されます…
テント内は大体が6人部屋。
ベッドがない部屋もあります。が、せっかくなので砂を感じながら寝たいものですよね!
ちなみに、8月に参加したのですが、テントの中は暑すぎて寝れたもんじゃありませんでした。みんな絨毯(じゅうたん)を持ち出して砂漠に敷いて寝ていました。
着いた途端砂丘に挑む人たち(もちろん私も)。
砂が熱く、早足になると息切れがひどく、どうしても休憩せざるを得ません。
ふと、自分の呼吸の音しか聞こえないことに気づきます。
荒れた呼吸を落ち着かし、耳に神経を集中させます。
無音。
音楽、車の音、人の声はもちろん、風の音、鳥の鳴き声も一切聞こえません。
辺りは暗くなっています。 時間を忘れてしまっていました。
登ってきた揺るややかな斜面ではなく、急な斜面を一気に下りて行くことにします。
その時、砂が「ズレる」感覚を覚えました。雪崩に遭遇したことはありませんが、地響きや「ゴゴゴッ」っと音を立てるあたりは似ているのかと…。
すねまで埋まってしまうほどサラサラの砂が、どんどんズレていきます。
その後は急いで駆け下りました。
陽が暮れると夕食。テントの中で食べるのですが、これが蒸し風呂状態。急いで食べて外にでました。
見上げると満天の星空。
キャンプから聞こえる生演奏を聞きながら天の川を眺めます。
地球上の砂の数以上に星が存在すると言われます。
目の前の砂丘を眺め、星を眺め… 壮大すぎてイメージできません。
月が出始め、空が明るくなったかと思えば、雨雲も出現。さらには、稲妻まで!(食後の2時間で、自然界フルコース?)
いつの間にか小雨や風、砂が飛び交う中、何故かその一部に溶け込むように寝ていました。
【3日目】
早朝6時前、昨日の光景が夢か現実かわからないまま重たい体を起こします。
砂に覆われた体と絨毯で夢の世界が現実だったと確認。
明るくなる前にラクダに乗り、帰路を進みます。
途中朝陽を望み、ツアーのクライマックスを迎えます。
2泊3日で感じたこと、気づかされたことが多く、貴重な経験となりました。
そして強く感じさせられました。
私たち人間の存在は自然界において非常に小さく、無力である…と。
しかし同時に、その力強さと美しさに惚れることができ、さらに美しく「表現」したり、こうして「伝え」たりすることができるのも、人間らしさであり、人間の美しさだということも。
自然の力強さと美しさに、圧倒されっぱなしの3日間。
モロッコを訪れる際には是非、砂漠を感じてみてください!
素晴らしい旅行記だ。
観ている者を引きずり込んでいくパワーを感じる。
山を越え、砂漠に近づいていく途中でも興味津々な光景がいい。
映画のチラシがあったが、だいたい観た映画だがそこでの撮影とは知らなかった。
ここで「珍事」を紹介するとはすごいこと。偶然とはいえ、その珍事がその国の一面をのぞかせている。
「1時間以上も外にいると、乾涸びちゃうんじゃないかと思うほど暑いので、足早にバスに乗り込みます。」
「乾燥した地域をさらに進みます。」
上の3行は、物語の進め方としてすごくいい。
そして、。『もし世界が100人の村だったら』からの引用もいい・。
目の前の現状と、自分たちの日本での生活の違いに触れることは、皆をも考えさせる共有の世界に引っ張り込む手法で感心する。
一日目の宿泊地での夕食のことに触れてみたかった。
「TOYOTA」を見るとなぜかほっとする。
そして、砂漠。
「アラビアのロレンス」という映画で、自然の砂漠の圧倒的な美と過酷なまでの自然の驚異を知ることができたが、隆吾の「砂漠」は、長いプロローグと短くも表現力のうまさから自然が醸し出す究極の美を感じさせる。人を無言のさせる「美」がそこにある。
「音のない世界」も圧巻である。
砂丘のカーブに映るラクダの隊列のシルエットが一番好きだ。
「私たち人間の存在は自然界において非常に小さく、無力である…と。
しかし同時に、その力強さと美しさに惚れることができ、さらに美しく「表現」したり、こうして「伝え」たりすることができるのも、人間らしさであり、人間の美しさだということも。」
スタンディングオベーション。
拍手喝采。
初めまして。とても素敵な旅行記ですね。私も一人旅にてモロッコ行きを検討しているのですが、こちらの砂漠ツアーのお値段や旅行会社の詳細を教えて頂けますと幸いです。お手数をお掛け致しますがどうぞ宜しくお願い致します。
初めまして。コメントありがとうございます!
返信が遅くなってしまい、申し訳ありません…。モロッコもたくさんの刺激があり、感じることも多くある国の一つです!ぜひ、楽しんでください。
ツアーの詳細ですが、ホームページ上の「MAIL」より再度、連絡していただけるとありがたいです。(常に公開されているHPのコメント欄には詳細を載せることを控えていまして…)ご理解のほど、よろしくお願いいたします。