北アイルランド最大の都市ベルファスト。
自然に囲まれたこの街は、産業革命の影響を受け、次第に他の地方から人が入るようになり、様々な産業で栄えていきます。
その中でも特に栄えたのは、麻や縄製造、造船。
またベルファストは、女性が働くことができる場所としての役割も担っており、仕事を求めて移り住む女性もいました。
造船業界では、産業革命後の蒸気機関や電気エネルギーなどの技術を駆使し、より快適な船を目指して競争が激しくなります。
多くの会社は技術を凌ぎ合い、「スピード」を重視した船の製造に力を注いでいきます。しかし、スピードをあげるためには莫大なコストがかかり、大きな船を造る事は難しいことでした。
そのうちの2社が大型客船で生き残っていきます。その一つがタイタニック号を造った「ホワイトスター社」。
(設計中のホワイトスター社内の様子)
ホワイトスター社は特に「豪華さ」を強調した造船を行っていきます。
製造中のタイタニック号。
豪華客船といっても、ただ豪華にするだけではコストがかかってしまします。
内装のデザインは従来と大きく変えず、お馴染みのスタイルを続け、ボイラーやタービンの構造の研究に力を入れます。
スピードやデザインではなく、エネルギー効率の良さを重視したことで、贅沢に電気を使用することができ、結果的に豪華さを実現しました(当時は電気を使用できる客船はまだ珍しかった)。
実はタイタニック号と元の設計が全く同じ船が存在します。「オリンピック号」です。先に航海したのもオリンピック号です。
これらの大型船は元々、移民を送り出し、経済の発展を招くために造られたものでした。上流階級の人々にとっても、アメリカへ渡る唯一の手段だったため、タイタニック号に関してはオリンピック号よりも豪華な船にしたというわけです。
こうしてたくさんの想いと技術が詰まったタイタニックは、当時の世界最大の豪華客船となり、ベルファストの誇りでした。
しかし、絶対に沈まないと言われたタイタニック号は初航海でアメリカに向かう途中に沈没してしまいます。
後の研究によれば「氷山の発見がもう少し早ければ」逆に「あと5秒対応が遅れていたら(タイタニックは正面の衝撃には強い構造になっていた)」最悪の事態は免れたという説があるようです。
実際にタイタニックが造られた場所のすぐ横にある、タイタニック号記念館。
(当時タイタニックが造られたH&W社の造船所と、タイタニック号記念館の位置)
(記念館から見たタイタニック号の造られた場所)
ここでは、ベルファストの歴史からタイタニック号の誕生、最後までを学ぶことができます。
豊富な資料と体験型の博物館は、4〜5時間かかっても飽きる事なく学ぶことができる内容となっています。(タイタニック号のチケットレプリカ)
(造船を体験できるUFOキャッチャーのようなもの)
(ブレててむみません。こちらは造船の様子を見れるアトラクション)
(造船中と完成したタイタニック号の模型)
(1等客室の復元)
このスクリーンに移る映像は船内を案内してくれます。
クオリティが非常に高く、本当にタイタニック号に乗っている気分です。
(ボイラー室の上部)
(後にも先にもこれほど美しい階段はないと言われるデザイン)
造船の仕方や船体の構造を事細かく知る事が出来る、映像付きの資料はかなり凄く、そして分かりやすいです。
こちらは子どもも大人も楽しめる映像。タイタニック号に乗った人、物、食料などの量を、各港(3つの港を経由してアメリカに向かった)ごとに紹介しています。
この機械では、沈没後に調査された、海底に残る残骸を見ることができます。
足元に移る映像は、調査した船体の映像です。沈没した船体を実際に見ているかのように感じます。
調査した時の映像や資料。
多くの夢を乗せ、希望の途中で絶ったタイタニック。
「最新技術=安全」ではないという教訓を強烈に今に残ししています。
北アイルランドへ行った際は是非、タイタニック号に乗せた想いを体感してみてください。