ドイツの田舎町
ここに安藤忠雄が手掛けた美術館があります。
その名は
『ストーンスカルプチャーミュージアム』
石の彫刻家で、主に本などを制作するクーバッハ夫婦の美術館です。
田舎道を進むと見えてきました。
自然の中に溶け込む小さな建物。
この小ぢんまりしたこの美術館は、完成までにかなりの時間がかかりました。
まずは土地の問題。ここは隣の町との境目にあり、実際美術館の敷地は双方の町にまたがっています。何度も隣町と討論が行われました。また安藤さんは、「建物を建てるために、木を倒すことはしない」と言って元ある木の位置を調査してデザインするなど、様々な観点で議論になりました。
さらにクーバッハ夫妻には予算が足りず、予算の擦り合わせだけで5年の歳月がかかったそうです。
そうしているうちにクーバッハ夫妻の旦那さんが亡くなってしまいます。
このプロジェクトもおしまいかと思ったところ、村人も声をあげて続行の意を示したそうです。
その「気持ち」に心動かされた安藤さんは、専門家が造る箇所と、村人が造る箇所に分け、再度設計を見直しました。
建物上部はドイツなどの伝統様式、木骨造り。
この部分を、村人が土日返上で3年の歳月をかけて完成しました。
クーバッハ夫妻、村人、安藤さんの「気持ち」が詰まった作品の完成です。
レセプションには安藤さんとクーバッハ夫妻の写真が飾られています。
(安藤さんの左右に写るクーバッハ夫妻)
写真を見ていると、レセプションにいた2人の女性のうち1人が、写真に写る女性を指差し、
「この人よ」
と言い、目の前にいるもう一人の女性も指差しました。
クーバッハさん本人でした。
「建てる前は辛かったけど、今はこうして建てることができてとてもハッピーです」と語るクーバッハさん。
作品の材料となる「石」についても聞いてみました。
「ドイツにはケルン大聖堂など、石で造られたものはあるけれど精神的なパワーや宗教的なパワーをあまり感じませんでした(人間の力を感じる)。京都に行った時、石の庭園を見て石のパワーを感じました(石が本来持っている力)。」
今や日本の「禅」はブーム。(大英博物館で見つけた商品。自分でミニ庭園をつくるセットです!)
その感覚を実際に日本で感じ取り、自らの作品に生かしたクーバッハさん。
作品は主に「本」ですが、そのシンプルさからにじみ出る、石本来の個性や美しさを感じずにはいられませんでした。
(実際に手に触れて石を感じることができます)
日本で感じたイメージは、建築にも生かされています。
館内には日本伝統の造りをイメージした箇所がいくつかみられます。
(庭園をのぞむ日本の家)
現在も制作を続けているクーバッハさん。現在は本だけでなく、モダンな作品や音を取り入れた作品なども展開中です。
自然の中に溶け込む、ストーンスカルプチャーミュージアム。
完成当時、開館を記念したイベントでは押し寄せた村人が館内に入りきれず、急遽外での開催となりました。そして、そこで安藤さんは、
「この建物は『おれが造った』という人がたくさんいます。みんなで守っていかなければいけません」
と言ったそうです。
ドイツの小さな村で、クーバッハさん、村人、安藤さんの「気持ち」が生き続けています。
テーマの中にストーリーがあり、ストリーの中にエピソードがある。いつものパターンだが見る者を引きつける映像と文章力はさすがである。
FBで題名を募集する写真は見る者を引きつけ、ゲーム感覚での共生を醸し出すところはさすがだ。
ブログでは、文章の次に写真があるというパターンは意識的なのか。逆があってもいいのではないか。FB形式で問題を提起してみるのもいいと思う。
「本」の石は「○○岩」と思いますか? とか。クーバッハさんは何歳だと思いますか。とか。
安藤さんとの写真はいつ頃の者とか。その村はどんな村で、隆吾がそこに行った日付などがあるともっと臨場感が出て、見ている者に親近感を与えるのではないかと感じた。