オランダと言えば、思い浮かぶものの一つとして「風車」がありますね。
ここはアムステルダムから北に15分〜20分(電車)のザーンセ・スカンスという小さな風車村です。
かつては600基以上の風車が立ち並び、工業エリアとして栄えていました。現在は周辺に10基ほどの風車があります。
観光地化されている部分もあり、行きやすく見学しやすいですが、実際にそこで生活していたり、仕事を営んでいる方々もいます。
可愛らしい街並に時間を忘れてしまいます。 (屋根の形がおもしろい!)
(優しくも暑い日差し。木陰はみんなの憩いの場です)
どこを見てものどかな景色。目を閉じると心地よい風と風車の音を感じます。
この地では、風車を利用した産業と、木靴が有名です。
オランダの民族衣装としても扱われる木靴は、もともと農民や身分の低い労働者のための安価な靴として広まりました。
現在でも農作業などで履く方々がいるようです。
実際に履いてみると、意外と足にフィトしたので驚きました。
昔は全て手作業で行われていた木靴産業も、現在は機械を使って生産することができます。
この村にある工房では、その様子を見ることができます。
(右から順に、靴の形にしていく様子です)
(こちらは機械を使用した木靴づくり)
展示品の中にはこんなものまで!
すごい技術ですね…。
また、日本の「下駄」も木靴の一つとして紹介されていました。
窓や壁の装飾、植木鉢にしているあたりがオシャレですね!
続いて風車。
低地で知られているオランダでは、風車は灌漑のポンプとしての役割を担っていました(上の写真も海抜0m以下です)。その他製粉産業などでも用いられ、様々な用途に応じて存在し続けています。
今回見学した風車は、林業を営んでいる施設でした。
2年の歳月をかけ、2007年に完成した新しい風車です。
(木材を水に浸けておくのは、長期保存が可能なことや、その後の加工の際にひび割れや湾曲を少なくするためです。)
(風車の真下。ここで木材の切断作業が行われます)
(かなり重たい木材を2人で上手く移動させます。)
(念入りなチェックも素早く慣れたもの!)
(風の力を借り、この大きなのこぎりが上下に動き、切断します。)
のこぎりが動くのはイメージできると思いますが、木材を前に移動させないことにはもちろん切断できません。
なんと、木材を前進させる仕組みも、風の力を利用します。 動画はこちら
風の強さにもよりますが、切断にかかる時間は1時間に2m半。
こうした作業を人の手と木・風の力で行います(機器類は使っていません)。
風の力を帆がとらえ、摩擦によって木々に伝わっていく音、そして目の前で動くもの。
目に見えない力が目に見える力へと変わってゆく神秘に、しばらく目を離すことができませんでした。
建てられたのは最近ですが、考えられたのは先人の知恵。
こうした風車の仕組みはその後、様々な場所で応用されていきます。
私たちはいかに現代を、支えられた環境を、当たり前のように過ごしているのでしょう。
こうした技術を見る度に考えてしまいます…
何かを生み出す(残す・提案する)生き方をしたい…と。
そしてこうした先人たちからの刺激(風)が、また新たなものを生み出す活力(エネルギー)となる。
なんだか風車は生きて行くために必要な仕組みのようなものだな…
なんてことを考えながらのんびり歩いていると、小さな敷地ですが4時間を超えていました。
子どもたちが川に飛び込んだり、柵の向こう(民家の庭)では親子で水着を着て水を掛け合ったり、買い物袋をたくさん抱えて帰宅する老夫婦を見かけたり…
現地での生活が残りながらも、こうして訪れることのできる貴重な場所でした。