スペインのバルセロナ。この日は天気の冴えない日曜日。
とある美術館を見学後、細い路地を歩いていると、人々の活気であふれる広場へ出ました。
人々の視線の先に目をやると、同じユニフォームを着た人たちが中心に向かって支えをつくり、その中心では次々と人が人の上をよじ登っています。テレビで見た事のあるこの情景。緊張感漂う空間に心が引き寄せられました。
この行事は「カステイ」と言い、カタルーニャ地方の言葉で「城」を意味します。
無形文化遺産にも登録されているカステイは主に秋に行われるようですが、年間を通して様々な地域(カタルーニャ外でも)で行われています。
この日は60ほどあるチームの3チームが参加し、協力して塔を造り上げていました。
建て方もチームによって違いがあり、下から作り上げて行くパターンと、あらかじめ座った状態で組み、上から立ち上がっていくパターンがありました。
どちらも見応え十分!(動画はこちら)
日本人としてどうしても「小中学校で取り組んだ、組み立て体操のタワーの高いやつ」と思ってしましますが、カタルーニャでは競技としても行われ、スポーツとしても捉えられるようです。
実際見ていると思った以上にスピード感がありあっという間に終わります(塔を造り解体が終えると成功とみなす)。さらに、歪んだ表情と常にゆらゆらと揺れている人々を見ていると、とても簡単なものには見えず、老若男女が交わって造り上げている塔は芸術そものもでした。
伝統あるカステイには大切にされている4つのことがあります。
・勇気
・力
・バランス
・共通意識
個々の情熱とエネルギーだけでなく、それらを支える協調と共有。
みんなで何か物事を成し遂げるために必要な要素だと感たと同時に、カタルーニャの人々を象徴するような空気感を感じる事ができました。違うチームでも助け合う姿に感想します。
塔の解体が終えると、周りからの大きな拍手で彼らの勇気と芸術性を讃えます。
先ほどもお伝えしましたが、塔を形成しているのは老若男女。
男性の力強さと女性のしなやかさ、子どもの軽さが必要です。特に子どもの存在が大きく、子どもの存在がチームの将来にも影響します。
また、子どもはカナーリャス(いたずら者たち)と呼ばれ、チームのマスコット的存在として大切にされているとか。
一仕事終えるとその辺でおもちゃで遊ぶ姿が。
やはり子どもは子どもですね!とても可愛らしい〜!
と思っていたら…
街灯によじ登っている子が!!!
伝統が体に染み付いていますね。それにしてもたくましい!
大人の方々は気軽に優しく、受け入れてくれました!
おじさんたにの笑顔からは、仲間を大切にする優しさと、伝統を継承する誇りを感じます。
世代を超え、日頃から子ども・仲間を大切にしてこそ成し遂げられるカステイ。
そこには強力なコミュニティーが形成されています。
一言では言えない人々に根付く伝統の大きさ。
なぜ人は人で塔を造るのか…
ロマンあふれる瞬間でした。