4年に1度開催されるEURO、今年はフランスでの開催です。
ボルドー到着初日にスペインvsクロアチアが行われることを知り、ヨーロッパの会場でサッカー観戦することもこの旅の一つの経験事項と考えていたので、さっそくチケットを確認…。
どのサイトも「完売」。
えー!?せっかくの機会なのに。しかもスペインとクロアチアの試合なのに…と、ショックの気持ちでボルドーに入りました。
朝からサポーターが国旗やユニフォームを身にまとい、21時のキックオフを待ちます。
バスの先やバーの店先などにも、本日の対戦カードの国旗を掲げ町中で盛り上がりをみせていました。
また、この大会はテロの標的になると話題になったこともあり、そこら中に機動隊が待機していました。(日本の外務省もできるだけ行かないよう注意を呼びかけていました)
チケットが購入できなかったので「ファンゾーン」と呼ばれる大型スクリーンのある大規模な観戦スペースで楽しもうと考えていました。
が、せっかくなので会場まで行ってみました。試合開始2時間前にも関わらず人でいっぱい。行きのトラムの中では両国のサポーターによる応援歌合戦が始まります。
会場までの道のりも盛り上がっていました。
途中、「チケットを売ってください」「チケット売ります」という看板を持った人たちもたくさんいました。
「売ります」を簡単に信じることはできません。以前中国でニセモノの券を売りさばき、それを買ってしまた人が捕まるという実態を目の当たりにしたことがあります…。
が、物は試しに聞いてみました。
実際の半額以下で余ったチケットを売る人が数人いました。
理由は様々。
来る予定だったペアが来れなくなって、売りたい人や、自分の分も含め数枚売りたい人など。
もともとチケットを購入したかた私は、時間が経つにつれ、購入する決意を持ちます。条件の良かった人で、電話番号も教えようとしてくれた人に再び声をかけ、チケットを受け取り入場できたらお金を払うという約束のもと、交渉を成立させました。
チケットを持って係員に見せるとすんなりOK!
「やった!」と思いお金を支払いました。
その後、厳重な持ち物チェックをクリアし、いざスタジアムへ!
ん? いざスタジアム?
あ!!!まだ入場できたわけじゃない… と不安がよぎりました。
入場前の念入りなテロ対策をクリアしただけでした。
チケットを購入した人はもちろんどこにいるか分かりません。一か八か…
ゲートにチケットのバーコードをかざしました…
ピッ
かなり冷や汗をかいた結果、青いランプが光、無事に入場することができました!(※このような購入の仕方は騙される可能性も十分に考えられるのでオススメしません。)(この時点で20時。ヨーロッパまだまだは日照時間が長いです)
一安心したのもつかの間、試合開始1時間前にも関わらず盛り上がる会場の熱気に圧倒されました。
この日のカードは見所満載。
この試合引き分け以上で決勝トーナメントに進めるクロアチアは、負けるわけにはいかず、必死の攻防が期待されます。また、すでに決勝トーナメントを決めているスペインも、この試合で引き分け以上で1位通過が確定します。EURO3連覇を狙うスペインは、1位通過ならば決勝までドイツやイタリア、フランスといった今大会の強豪との試合を避けることができるため、どうしても1位通過がほしいところなのです。
この試合のスタメンを確認しておきましょう。
両チームとも、「温存」という言葉を感じさせないラインナップです。(それにしてもスペインのメンバーが豪華すぎる…)
試合前後の雰囲気を楽しむのも、会場で見る魅力ですね。一流の選手はアップも一流です。
また、世界を代表する選手もアップの際、小学生でも行うような「基礎」の動きを行います。基礎の大切さを感じさせられると同時に、全くミスがない当たり前のレベルの高さを感じます。
試合前のセレモニー
そしてキックオフ。
開始早々の7分、スペインが先制します。
前半はスペインのペース。再三チャンスをつくりだします。
このまま前半終了と思ったその時、クロアチアが同点に追いつきます。
そしてその瞬間「バーン!!!」と爆発物の音が響きました。一部騒然とする会場ですが、歓喜に騒ぐ会場ではその音もかき消されていましそうです。
すぐさま機動隊やスタッフが駆け寄り、怪しい人物を取り押さえていました。
幸いにもテロとは全く関係なく、一部過激サポーターによる過度な行為でした。まわりの方々に影響はなかったようです。(クロアチアサポーターの中には過激なグループがいるようで、すでに無観客試合が決まっている国際試合があることや、予選リーグ2試合でも騒動を起こしており、大会参加が危ぶまれているところでした。※一部の過激なグループです)
厳重な警備でも、こうした持ち込みができるということに怖さを感じました。
後半はクロアチアがスペインのイニエスタの動きを止めにかかります。その効果が発揮され、終止クロアチアのペース。
しかし一瞬の隙をつくスペインにチャンス到来!対応が遅れたクロアチアの選手がエリア内でシルバを倒してしまします。
PKを蹴るのはレアル・マドリードのセルヒオ・ラモス。
このPKはその後物議を出す事になりますが、失敗に終わります。 動画はこちら
そして終了8分前、カウンターからクロアチアが逆転の決勝だを叩き込みます。まさかの事態に喜ぶクロアチアのサポーター!そして悲しむスペインのサポーター。会場が真っ二つになった感覚を今でも覚えています。
歓喜に湧くクロアチアサポーター
試合後も勢いは止まりません。
結果は2−1でクロアチアの勝利。クロアチアにとっては最高の形での決勝トーナメント進出となりました。
そんな白熱した試合ですが、試合の内容も素晴らしいものでした。
互いに譲れない試合にも関わらず、いわゆる醜いラフプレーは殆ど見られず、ルールの範囲内でプロとしての必死のプレーを見ることができました。
少し危ないかと思われたプレーで競り合った選手同士も、互いのプレーに敬意を示すシーンも。
国のプライドをかけた試合で見れた、スポーツの美しさ。
そしてまた、その数々のドラマを演出しているのは選手だけでなく、様々な人・物が動き、支え合ってできていることを感じたひと時でした。