夏休みを前に早くもにぎわいを見せる水の都、ベネチア。
観光客が必ず訪れるサンマルコ広場の目の前に、安藤忠雄が残した建築があります。
その名は『プンタ・デラ・ドガーナ』。
17世紀の建造物は世界最古の税関があったとされ、安藤さんはその修復と保存の依頼を受ける事になります。
クライアントは、アート界で最も影響力のあると言われている美術収集家の、
フランソワ・ピノー。
(出典:goethe.nikkei.co.jp/human/110329/02)
歴史的建造物の修復を、なぜ日本人が?というベネチア住民からの反対もあり、街のあたるところに「タダオアンドウ反対」というポスターが貼られていたこともあるそうです。
安藤さんも実際に、絶対的存在である歴史的建造物の修復と保存のをどのように行うのか、また海上都市であることの物理的困難に悩まされたそうです。
そして修復されたプンタ・デラ・ドガーナです。
この日は企画展が行われていました。
ここは100年ほど使われていなかったらしく、写真ではきれいに見えるレンガもボロボロだったそうです(修復前の写真は博物館で販売している記録本で見ることができます)。
レンガは15世紀のものらしく、一部は同じ時代のものをわざわざ取り寄せて組み立てました。
そして安藤建築と言えば、打ちっぱなしのコンクリート。
この歴史あるレンガと、現代のコンクリートという2つの素材が、一つの建造物の中で時代を超え、見事に調和しています。
ベネチアを訪問の際には、世界遺産の地に日本人が残した偉業を、是非感じてみてください。