この五つの旗を見てどこの国を想像するでしょうか。
この国はコソボです。日本とは馴染みが薄く、なかなかイメージしにくい国だと思いますが、興味深く今後の進展が気になる国です。
(旗は左から、コソボ、アルバニア、アメリカ、EU、NATOです)
コソボは2008年、セルビアから独立を宣言し、一つの国としての意識を持っています。しかし、セルビア側はそれを認めていません。現在コソボを国として認めているのは日本を含めた111カ国だそうです。
(Wikipedia ja.wikipedia.org/wiki/コソボ地位問題 より引用)
オレンジは反対、薄いオレンジは交渉の進展に期待する立場。濃い青は独立承認済み、薄い青は独立承認の意思を明らかにした国。黄色の国では議論が分かれているようです。
旧ユーゴの解体による各地域の独立が相次ぎ、このコソボも独立への動きが見られます。セルビアはこれを認めず(セルビア正教の聖地や世界遺産はコソボの領土に含まれることなど、様々な理由があります)、両国は武力による解決を試みます。それがコソボ紛争です。
しかし、両国の対立は収まらず、NATO(北大西洋条約機構)が介入します。NATOを構成する西側のアメリカとヨーロッパは、東側の社会主義であったセルビアを抑えることでこの紛争を集結させます。
セルビアの首都、ベオグラードには当時の空爆の後が今も残っています。
コソボはアメリカ、EU、NATOの援護があってできた国なのです。
メイン通りの名前は「ビル・クリントン通り」銅像もあります。
そして、コソボの人口の90%はアルバニア人。首都プリシュティナの街には、あちこちでアルバニアの国旗が見られます。
学校にもアルバニアの国旗が。
宿のおじさんに、「コソボの国旗、かっこいいね」と言うと、
「これはアメリカが作ったんだ。こっちの方がいいよ」と言って、アルバニアの国旗を指差しました。
コソボの国旗の星マークは6つの民族からなく国を表しています。その中にセルビア民族も入っていることが気に食わないこともあるのでしょう。コソボの国旗はほとんど見ることがありません。
市場で声をかけられたおじさん。
コソボでは、このおじさんにかぎらず、いろんな所から陽気に声をかけられます。最初は警戒し、気にしなかったり、荷物を確認したりしながら対応していました。
しかし、彼らはとても優しく、「コソボっていいところだろ!」って自慢して楽しむのです。
このおじさんに「中国人か?」と聞かれ、「日本だよ」と答えると満面の笑みで「おーヤポン!」と言っていました。すると、
「日本と中国は仲悪いのか?」と聞かれました。世界の目からしてもそのように写っているのですね。
「市民レベルではそんなことないよ。政府レベルでは問題があるかもしれないけどね」と答えました。(3年間中国に住んだ経験から感じる素直な気持ち)
そして私も質問しました…
「コソボとセルビアはどうだい?」
「セルビアなんかどっか行け〜」といった感じで、一応の笑顔は見せていましたが、払いのけるような手の仕草には力が入っていました。
続いて「アルバニアは兄弟さ!」とおまけつき。
「コソボ」というより「アルバニア人」という意識が強いようです。
みんな本当に優しく話しかけてくれます。
カメラを持っていると、おれも撮ってよと言ってくる人も何人かいました。
普段はおしゃべりなくせに、カメラを向けると、ちょっと緊張して静かになるおじさん。微笑ましい瞬間でした。
街を歩いているとよく見る光景。
人々は挨拶を大切にしており(ハグ、又は握手)、
どの店も、朝からせっせと店の前を掃除する姿が印象的でした。
また、プリシュティナの人口の4分の3が35歳以下の若者だそうです。街には若者があふれ、活気があります。(カフェはどこも若者でいっぱい!)
この日は子どもたちのイベントも行われていました。
建物は近代的なものも多く。
斬新なものもあります。これは国立図書館。モザイクの壁が可愛らしい。
これも斬新!?と思いましたが、縦書きの書き方があるようですね。
そんな活気とおもしろさのある街ですが、失業率が高いことも現実です。信号待ちの間、車の窓を洗いお金を稼ぐ人たちもいます。(子どももいます)
また、観光に対しての意識は低く、バスターミナルにマップはないし、地図アプリをインフォメーションの人に見せても全然違う現在地を教えられるなど様々。
あるファストフード店で、パソコンを開いて調べものをしているとWi-Fiを切られました。お店が混んできたからどいてほしいということだったようですが…、何も言わず切っておいて、「Wi-Fi切れたよ」と言うと、「Wi-Fiないよ」と言われました。今まで使ってたのに、むしろパスワード店員から教えてもらったのに。
まぁ、郷に入りては郷に従え。私がよそ者であることには間違いないのでその土地の考え方で…。
ちょっと考え過ぎかもしれませんが、「仲間は仲間、敵は敵」という感覚さえ覚えました。近隣諸国から自分たちの国や民族を守るための気質かもしれません。(その他の地域は行けていないのでわかりません)
どこの国もそうですが、スマートフォンが普及し、Wi-Fiがこれだけ充実し、世界の情報が簡単に入ってくる時代です。
理想を持つことができても、目の前の現実を受け止め発展させていく努力が必要です。物理的にも道徳的にも。それをどのように教育し、都市計画を打ち出して行くのか。
理想と現実の間で努力しているのは沖縄も同じです。
民族問題をはじめ様々な問題を抱えているコソボが、今後の平和のモデルになっていくことを願っています。
今こそが「コソボの夜明け」となる歴史の1ページ。
いままでで一番いいレポート。
起承転結がうまい。
国旗で民族の歴史を表現し、セルビアとアルバニアの違いを生活感のある市場のでの現地の人の言葉をかりて簡潔に説明したのもレベルの高い技法だ。
町での特徴や、失業率でその国の経済力がわかるような気がする。
Wi-Fiのエピソードもその国の悲惨な体験を垣間見るようでいい。
コソボオリンピックを子供たちを使って何気なく表現したのもいい。
何故、「若者が多い」のかという疑問がわく。
コソボ戦争で年寄りが亡くなったのかと思うが。その説明があると、頭の国旗がもっと生きてくるのではと感じた。
最後の文章に沖縄を思い、平和を愛し、必ず夜は明けるという信念を表現した。
そして、閉めの写真の撮り位置と構図、うす暗さのなかの店の明るさにこの国の夜明け前を感じさせ、この物語を閉める象徴的な写真を配置した。
プロのレベルを感じる。
昨日は長い時間お付きあいいただき有り難う御座いました❗私もこのように旅で色々考えさせられてます‼人種言語そして宗教が違うと、いざと言うときに問題が発生します
セルビア人から聞いたこと、コソボ人から聞いたこと、どちらも事実であり間違いだと思います。両国が許し合う事は無理でも、憎しみ合うことが事が無い日々が無いことを祈ります旅を健康と安全第一で、楽しんでくださいませ