フライトまでの時間があったので、路上販売をしてみることにしました。
日本から持ってきた折り紙で箱やツルを折ってみます。(お金が入っているのは風でとばないようにするため)
人通りも多いので、チラチラとこちらを見ている視線を感じつつも、なかなか近くにはよってきません。まぁ売れるためでなはく、どんなもんなんだろうと、経験のためにやってみた感じでいました。
時間が経つにつれ、興味を持ってくれる人も出てきました。
声をかけられたり、「グッド」のサインを送る人がいたり、握手を求める人など。
それだけでも嬉しくなります。
1時間は経ったでしょうか、そろそろ引き上げようかと片付けにはいりました。
すると、一人の若い女性が赤いツルを指差し、
「これいただけるかしら?」
お!!!「2ユーロですけどいいですか?」
そして渡されたのは、
3ユーロ。
「え?!いいの?」
その場で一生懸命折っている姿に共感を得てくれたのでしょう。
その若い女性は「メルシー」と言いながら笑顔でその場を離れていきました。
1ユーロの「気持ち」を頂いて「やった!」というより、「どうしよう(お金もらっちゃった)」というのが正直な気持ちでした。
今までお年玉だったりなんなりで、お金を頂いたことはありますが、この時ほど頂いたお金を「使いたくない」と思ったことはありませんでした。
もらったお金を小銭入れにしまい、大切にしようと心に決めました。
片付けが終わり、空港に向かおうとしましたが、ずっと気になっていることがありました。
私の近くで、2つのボールをお手玉のように投げている女性です。
私が路上販売をする前からずっとその場でボールを投げ続けています。不器用にも、何度も何度もボールを落としながら。
それを見ている人たちは彼女の前に置かれた缶にお金を入れていきます。
私は、折り紙の方が魅力的じゃないのかなと感じていました。
しかし、折り紙ではなく、何度も落ちるボールにみんな心を惹かれています。
私はしばらくその場を動けずにいました。
何度も失敗しながら、ずっとずっと、ボールを投げています。
私より、彼女の方が一生懸命でした。何倍も。
人は一生懸命な姿に心惹かれ、気持ちを動かされます。それが難しいことなのか、器用なことなのかではなく。
ただひたすらに、懸命に…
私は、ツルを買っていった若い女性から頂いた大切な「1ユーロ」の気持ちを、私の気持ちに変えて、ボールを投げつつける女性にプレゼントしました。
「気持ち」で繋がることの美しさを感じて。
そして、こうした小さな「気持ち」が繋がっていくことを願って…。
いつも楽しく拝見させていただいております。
新垣さんの活動から,たくさんの勇気と愛情といただいています。
そして,自分の知らない世界を教えてくださることに感謝しています。
無理せず無理してがんばってください!!
いやー・・・まいった。
まるで短編小説だ。
起承転結といい、流れ、構成、文章がいい。
路上販売が醸し出した人の「気持ち」が1ユーロという小さなコインで絆が芽生えていく。
感動と心が安らぐのを覚えた。
胸も目頭も熱くなりました。隆吾さんも、二人の女性も素敵です。日々どう生きるか、今、私がしている物づくりにおいても、大事なことを教えてもらいました。ありがとう!
気をつけて楽しい旅を!