チェコの首都プラハは、世界大戦の戦火から逃れることができた街なので古い街並が残っています。
歴史や芸術も多く、文化としても魅力多い街です。
数日ではとても回りきれないほど、見所はたくさんあります。
そんな街プラハをぷらぷら(笑)散歩することも魅力のひとつです。
日本とは違う景色を楽しむのはもちろんのこと、
ちょっとしたトキメキに出逢えたり、
改築する時も、こうして景観は守られているんだと勉強になったり…
水が溢れても勢いよくかける姿に、「昨日雨降ったよ?そんなにかける?」と思わずツッコミたくなったりと。
また、いわゆる観光客がいない場所は、ゆったりとした時間が流れています。
そんな魅力ある街で、魅力ある2人の方に出会いました。
日本とスイスのハーフ。Jさん。
プラハ音楽祭のコンサートに行く途中、いつもとは違った路地から行ってみようと歩いていました。すると、
「日本人だよね!あ、すみません、日本人ですよね?」
突然の日本語に驚きました。
最初は何か観光の呼び込みかと思いましたが、彼の気さくさと優しさ、日本人を良く知っていることから、その不安はすぐになくなりました。
とあるバーから、たまたまタバコ休憩で店頭に出てきていた彼は、日本で仕事をした後、プラハに来たという。
コンサートの時間も近かったのでとりあえずその場を離れることに。
「いつまでいますか?コンサート終わって、時間があればまた来ます」と言うと、
奥にいる仲間を指差して「1時間だけ!と言って日が変わるまでいる連中さ!」
と笑顔で答えてくれました。
そしてもう一つの出会いはコンサート会場で。
私の後ろの方に座っていた彼は、休憩後、私の隣の席に移動し話かけてきました。
韓国人で現在ロンドンで仕事をしているという。
コンサート後、プラハ城をのぞむレストランにて、Lさんと。
彼は、私のつたない英語にも嫌な顔せず、常に笑顔でその場を楽しんでいました。
Lさんと話した後、急いでJさんのいるバーに戻ると、Jさんはまだ仲間と楽しんでいました。
出逢った2人の共通点は、
「仕事、仕事、仕事」の生き方が嫌になってヨーロッパにきた。
ということ。
同じ日に同じ内容のことを聞くのは不思議でした。
Jさんは日本で断っていた仕事をお願いされ、試しに働いたが、3ヶ月経ってやはり嫌になって辞めたそう。
「おれ昨日○時まで仕事だったよ〜」それが日本では自慢になってる。
「長時間の仕事は効果が出ないと科学的にも証明されているのに、なんでそんなことするの?実際うまくいってるの見たことないよ」
「おれには家族も友達も、仕事以外の人生だってあるんだよ。みんなにはないの?」
と言っていました。
さらに、「日本では契約が終わってからあれこれ注文が来る」と。
「例えば、料理を注文して作っているのに後からあれこれ調理法を言われるようなもの。そんなのおかしいでしょ? 日本は効率がいいように見えて実は悪いよ。転職が多いのも効率がすごく悪い。」と。
Lさんは、「私もあなたも、人生は1回で自分のものでしょ?どうして人生の殆どを仕事に使うの?仕事とプライベート、半分半分がベストだよ」と。
そう話す2人の笑顔はとても輝いていました。
「仕事はそんなにするもんじゃない?もっと楽な方がいい?」と考えていましたが、単にそういうことではありませんでした。彼らは自分の仕事に誇りを持っていました。
誇りがあるからこそ、一生懸命で、時間内にベストを尽くす。
そして、仕事外は仕事外。
実にシンプルで効率が良い。彼らは楽をしているのではなく、「人生を楽しんでいる」のです。
確かに、この旅で公共バスや航空会社のストライキがあってヒヤヒヤしたり、いろんなことが便利な日本はやっぱりすごいと関心したりすることがたくさんありました。
しかし、
追い込まれて自ら命を落としたり、病を抱えたり、家族との休日の時間が苦痛になってしまう世の中は「便利さ」が生み出したものかもしれません。
その「便利さ」は表上は効率が良く見えて、裏では首をしめている。
分かっているはずなのに、そうするしないといけない日本のシステム。
全てを一概には言えませんが、自然や人の暖かみを感じ、芸術に親しみ、仕事に誇りを持ち、笑顔で過ごせる人生でありたいと感じます。
立ちこめる煙が充満する深夜のバー。
皆国籍の違うメンバーたちの中で、Jさんと語った時間は「生き方」だけではなく、複雑な歴史を持つ東欧のことから、国によって違う価値観なども語り、貴重な時間となりました。
「また会おう」
2人が言ってくれた言葉です。
こうしてまた繋がっていく。
観光地だけでなく、訪れた地を散歩する。そうしたことから生まれる出会いが、旅の醍醐味ですね。