2017年に来日!?「スラブ叙事詩」ミュシャの想い


IMG_2299   アルフォンス・ミュシャ(ムハ)

アール・ヌーヴォーを代表するデザイナー。

 

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「見たことある!」という方も多いのではないでしょうか。

 

そんミュシャの作品の中でも、魅力的なシリーズ「スラブ叙事詩」。

6m×8mもの作品20点からなる超大作です。

 

この作品は、チェコ国民が祖国の歴史と向き合えるように描かれたものです。スメタナの「わが祖国」など、音楽や文学で祖国を表現した作品はいくつかあるようですが、この作品には「絵画による視覚的な作品が最も効果的である」というミュシャの想いが込められています。

「叙事詩」とは、神話や英雄、歴史として語り伝える価値のある出来事の物語として、語り伝えられるものです。

チェコは、歴史的にも周辺国による支配や様々な環境の変化がありました。そんな中で生まれた思想や社会の仕組みは、現在の世の中の基となっているものがあります。

 

例えば、9番目の作品に出てくるヤン・フスの思想は、民主主義や国際連合などのもととなるものでした。

また16番のコメンスキーは、「知識をすべての人が共有するために」と考え、現在では当たり前の学校の仕組みを考え、彼の考えはユネスコの思想にもなっています。

 

1.現故郷のスラブ民族

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独立と平和を象徴する作品。個人的に一番長く見惚れていました。

写真では伝わりませんが、夜空の美しさに言葉をなくします。(青はスラブの原点を象徴する色だそうです)

 

 

2.ルヤナ島のスヴァントヴィト祭

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3.大モラヴィア国のスラブ語礼拝式導入

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4.ブルガリアのシメオン皇帝

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5.プジェミスル朝のオタカル2世

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6.セルビア皇帝ステファンドゥシャンの戴冠式

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7.クロムニュジージュのヤン ミリチ

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8.グルンヴァルトの戦いが終わって

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9.プラハ・ベツレヘム礼拝堂のヤン フスの説教

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チェコで今も大切にされているフスの言葉「真実は勝つ

フスは当時には合わない思想だったため処刑されまいたが、

 

 

10.クジージュキの集会

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枯れ木と白旗は戦争と避けられない死を意味し、葉のついた木と赤旗はチェコの命と希望を意味しています。

 

 

11.ヴィトコフの戦いの後

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12.ベルト ヘルチツキー

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ヘルチツキーの思想「悪をもって悪に報いるべきではない

 

 

13.国際平和機構

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14.ズリンスキー総督によるトルコに対するシゲット防衛

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15.イヴァンチッツェのモラヴィア兄弟団学校

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16.民族教の師 ヤン アーモス コメンスキー

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17.聖アトス山

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この作品は日本にも一度来ているそうです。

 

 

18.スラブ菩提樹の下で宣誓する青年たち

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19.ロシアの農奴制廃止

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20.スラブ讃歌

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作品の大きさにも圧倒されますが、人々の表情や動きの描写に感銘を受けます。

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13.国際平和機構の作品右下、「ROMA」と書かれた本を閉じている少女。その手からは力強く閉じた印象を受けます。これは、ローマとの関係を切ったことを表しています。

 

 

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また作品からは、ミュシャの制作軌跡を感じることもできます。

人物を特定させないため、あえて顔を描かなかったものもあるそうです。

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未完成な左手。作品は生涯描き加えていたと言われています。

 

 

ミュシャの意図した通り視覚的な作品からは、観覧者の心に訴えてくるものを感じます。

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この「スラブ叙事詩」20点が、2017年4月に東京にくるようなので、チェコの歴史と向き合うと共に、この大作を感じることができます!

おそらく大混雑が予想されるので、可能であれば、今年中にチェコに来ることがより良いかと思います。

 

 

 

「向き合う」

 

「制作すること」「表現すること」の意味を、改めて考えさせられた作品との出会いでした。

 

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国立美術館 ヴェレトゥルジュニー宮殿 


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